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和尚の日記

マンガやゲーム、映画など自分が見たものの感想や紹介をしていきたいと思います。

映画『ブレイブ・ワン』_シリアスから一転、まるで落語のようなオチ(ネタバレあり)

 今回は『ブレイブ・ワン』という映画について。

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↑これです。

 

ジョディ・フォスター主演の映画です。

ラストシーンの展開は視聴者を裏切ります。悪い意味で

 

作品のあらすじ

ラジオDJであるエリカという女性は、暴漢たちに襲われ婚約者を失い、自らも重傷を追った。その後、ひょんなことから犯罪者を射殺したことによって、彼女は犯罪者を殺すようになる。

エリカは自らの中に別人格が生まれたように感じ、恐怖を抱きますがそれでも犯行を続けていく。

制裁を繰り返していく中で一人の警官と親密になり、彼の力もあって、エリカを襲った犯人を見つけることができた。

最後にはその犯人たちを射殺するところで、エリカと警官は対峙し……。

 

終盤までのシリアスは見事

この映画は暴漢に襲われるシーンから始まるが、シリアスの描き方は見事だと僕は感じた。

エリカが事件のトラウマをフラッシュバックするシーンを挟むことによって、彼女が銃を手に入れる展開も極自然なものとなった。

もし暴漢に襲われた時、彼女が銃さえ持っていれば悲劇は起こらなかったはず。身近に銃がある社会ならば、そのトラウマに備えるためや後悔の念から、銃を手にするのは自然なもののはず。

 

彼女が凶行に及んだ理由の一つとしては、護身用として手に入れた銃を使う機会に恵まれたしまったこと。

状況から見れば正当防衛が成り立つであろうが、彼女はそこで殺人を犯す。

そこから彼女は下り坂を転げ落ちるように、次々と犯罪者を制裁するようになっていった。

 

しかし元は善良なる一般人。殺人に対する忌避感情をも同時に持ち合わせており、自らの行為に対して葛藤を抱く。その葛藤から自らが住むアパートの管理人(?)に境遇をと心情を吐露した。

また、以前にも仲良くなった警官に、警官と私的制裁者の境目(射殺の合法・非合法)などについても会話します。

この場面によって、決して冷酷な殺人者になったわけではないことを示唆した。

殺人を否定する感情も持つエリカは殺人に対する忌避感から自らの中に別の人間が生まれたように感じていた。

 

以上の点は全て、主人公の人間らしさ、葛藤、殺人に対する肯定と否定が現れていると感じる。

この主人公の心理描写は、見事だと感じた。(射撃能力高すぎんよ!というツッコミはなしの方向で)

 

だけどオチが……落語か?!

映画のラスト、警察での面通しから、婚約者を殺した犯罪者を見つけた彼女は彼らを殺しに掛かります。

そして次々と犯人たちを殺していき、残すは最後の一人となったところで、エリカの前に警官が現れます。

犯人に銃を突きつけるエリカ。そんなエリカに向けて銃口を向ける警官。犯人は面の皮厚く、警官に助けを求める

陥る膠着状態。

説得をする警官。それを受けてエリカは泣き出すエリカ。

 

そして、警官はエリカに近づき――

「使うなら合法(=警官)の銃を使え、それなら捕まらない」と言って、自らの銃を手渡したのだった。

 

……えっ?!

 

な、何言ってんだ警官は? この展開には犯人も「何言ってんだテメェ?!」と叫ぶが、まったくもって同意である。

犯人に同情もクソもなく、直前まで『さっさと撃って復讐遂げろよ』などと思ってもいたが、この発言には『いやそりゃねえよ』としか感じなかった。

今までエリカが自らの行いが正しいのかどうか葛藤し続けていて、いざ最後の最後、本当の復讐相手を前に答えを出そうとしたら、『僕の銃を使えばいいじゃん』と別の所からあっさりとした答えを提示されたのだ。

 

彼女がラストに何か独白を吐くのだが、正直この展開の衝撃のせいで、ろくすっぽ覚えていない。というか何を言っても寒々しいだけだろう。

ラストに至るまでの彼女の葛藤とは一体何だったのか? これまでの120分間で描いてきた彼女の葛藤とは?

この映画を使って描きたかったものがこれだと言うなら、僕はこの映画をこう評価するしかない

 

『120分を費やして描かれた、壮大な落語』と。