こんにちは。和尚です。
今回はつい最近NHKで放送していた、『数学ミステリー白熱教室』という番組について書いていきます。
この番組はアメリカで最も有名な数学者の一人、カリフォルニア大学バークレー校のエドワード・フレンケル教授が開いた四回の講義を放送したものです。数学についての歴史や考え方などを教えていました。彼は、あらゆる数学の分野を繋げることを目的とした数学者です。
講義内容は良く分からなかったとこが多かったのですが、今まで聞いたこともなかったことが知れたりして、とても面白かったです。
『フェルマーの最終定理』という言葉は知っていましたが、その証明のために使われた『志村・谷山・ヴェイユ予想』という言葉はこのときはじめて知りました。そして名前にもなっている志村、谷山両名の悲劇なども。
そんな数学史に余り明るくない僕が、この番組を見て一番面白いと思ったのが、三次方程式の解の公式の説明のとき紹介された、ある数学者たちのお話です。
三次方程式の解の公式は、 別名『カルダーノの公式』と呼ばれているらしいです。
『ピタゴラスの定理』のように名前がついているから、三次方程式の解の公式を見つけたのはカルダーノって人なんだ、と思う所ですが、実際に見つけたのはデル・フェッロとタルタリアという人だったようです。カルダーノというのは、あくまで他人が見つけた解の公式を発表しただけなのです。しかも無許可で(笑)。
なぜそうなったかというと、当時の時代背景として、数学者はどれだけ素早く問題を解くかで勝負して、数学者としての優劣を決めていたらしいのです。
そのときは公式や定理などは広めて共有するものではなく、相手との数学勝負に勝つための武器として独占し、秘密にするものだったのです。タルタリアやデル・フェッロも同様だったようです。
そこでカルダーノはタルタリアに、『絶対に誰にも教えないし、公表しないから』という条件で、その解の公式をタルタリアから聞き出しました。
その後、デル・フェッロも解の公式を見つけたという噂を聞きつけて、彼からも解の公式を聞き出します。そこで二人の解の公式が完全に同じだと言うことが判明しました。
それを知ったカルダーノは自筆の本で、三次方程式の解の公式を発表しました。先ほども書きましたが、無許可で。
当然、タルタリアは約束を反故にされたとガチギレしますが、『俺が公表したのはデル・フェッロの公式であって、お前のじゃねぇから』と言い逃れします。
怒りが収まらないタルタリアは数学勝負での決闘をカルダーノに申し込みますが、その相手を自らの弟子であるフェラーリに任せます。完全なる代理だったのか、『まず俺の弟子を倒してからにしな』だったのか分かりませんが、タルタリアとフェラーリの数学勝負が行われました。
結果、タルタリアの敗北。どうやら完敗だったようです。この勝負が切っ掛けでタルタリアは数学者として廃業したらしいです。
このようにして、当時の数学者は勝負によって他者との優劣を決め、最悪の場合数学者を廃業する羽目にあうこともあったようです。
このようにして一人の数学者が消えてしまいました。
この説明だけすると、カルダーノがただの最低のやつに見えますが、彼は数学というものを秘するのではなく、共有すべき知であるとした数学者のパイオニアでもあるようです。なので一概に悪いとも言えないのがつらいところですね。
この番組で最も学んだこと:タルタリアのようにならないためにも、人を見る目は養っていた方がいい(数学関係ない)。